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涙・涙の卒園式 2021.5

 またまた松田事務所の荒木です。先月、子供の幼稚園の卒園式がありました。卒園児入場から卒園児退場まで約2時間の間に、卒園証書授与あり、歌あり、思い出のスライドあり、とかなり濃い内容でした。特に我が家にとっては、うちの子供が卒園生代表として、「荒木悠正、あなたは三年間幼稚園の教育課程を修了したことを証します」というあの言葉を言われてから卒園証書を受け取るということになっていましたので(「あらき」ということで名簿が1番ですから)、このシーンをしっかり録画するぞ!と気合入りまくりでした。

 担任の先生が立ち上がり、マイクの前にスタンバイするのと同時に、こっちもビデオカメラを構えて録画のスタンバイOKです。いよいよ子供の名前が呼ばれるかと思うと、かなりドキドキです。ところが、いつまで待ってもなかなか名前が呼ばれません・・・おかしいなと思い、子供に向けていたビデオカメラを一旦止めて先生の方を見てみると、なんと先生が号泣されていました。

 うちのクラスの担任の先生は、割と年配の方で、園でもベテランの部類に入ります。当然卒園式も担任として何回も経験し、この名前の読み上げも普通にこなしてこられていたそうです。それが、今年はいざ名前を口に出そうとしたら色々なものがグワっとこみ上げてきて、抑えきれなくなったとのことです。それだけ今年の1年間というのは色々あって、先生にとっても大変で、だからこそ「いつもの」1年間じゃなく、特別な思いが詰まった1年間になっていたのかもしれません。

 ここの幼稚園は、コロナ禍にもかかわらず全ての行事を予定通りに行うという方針を取っていました。先生方にとっては、何かがあって行事が飛んでしまったり、練習できない期間ができてしまわないよう常に細心の注意を払っていたのだと思います。それこそ、極度の緊張状態を強いられる日々だったのではないでしょうか。しかも、幼稚園の中だけのことに留まらず、自分自身のプライベートや、自分の家族に対してまでも同様の注意深さを求めていたかもしれません。それだけのことをやって来れたのは、今年の年長クラスの子供達にも、できるだけいつもの年長クラスの子供達と同じような幼稚園生活を送らせてあげたいという想いがあったからだと思います。そして、色々ありながらも何とか無事迎えられたこの卒業式です。今まで張りつめていた何かがふとこの瞬間に緩んだのかもしれません。ただ子供達と別れるのが悲しいというだけじゃない涙が先生からとめどもなく溢れてきているように見えました。

 卒園証書を授与された子供は、クルっと向きを変えて親の方を見て「お父さん、いつも一緒に遊んでくれてありがとう。お母さん、いつも美味しいご飯作ってくれてありがとう」という感じで、自分自身が考えた感謝の言葉をそれぞれが言います。クラスの中で一番しっかりしていて、お姉さん的な存在だった女の子が、この感謝の言葉を両親に言った後で、堪え切れずにワーンと泣き崩れてしまいました。卒園式の練習では、他の子が思わず泣いてしまうと「大丈夫だよ」といつも慰め、本人は全く涙を見せなかったというその子がです。それを見て今まで我慢していた他の子供も、一気に泣き出しました。

 泣いている子を見て茶化しているやんちゃな男の子もいたのですが、式の終盤にある「思い出のスライド」で今までの幼稚園生活の場面が流れてくるとダメでしたね。今度はその子が、一番大きな声をあげてワンワン泣き出してしまいました。勿論親の方は、最初の先生の号泣の場面からずっと泣きっぱなしです。子供がここまで大きくなったのかという嬉し涙というよりは、子供達の悲しい気持ちが伝わってきての涙です。とにかく泣けて泣けてたまりませんでした。

 園児のほとんどが涙を流し、しかもその内の半分くらいが泣き崩れてしまい、先生方に支えられたり、慰められたりしながらの卒園式というのは、かなり衝撃的でした。こんなにも幼稚園の事が大好きで、こんなにも友達や先生の事が大好きで、こんなにもここでの時間が大好きで、という真っ直ぐな思いが、ストレートに伝わってきました。そして、その大切だった時間がもうすぐなくなってしまうんだ、というどうしようもない悲しさも。

 なくしてしまう事をツラく悲しく思えるのは、「なくなる」ということがどういう事かが、何となくでも分かっているからだと思います。この年齢でそれを学べたというのはすごい事だと思います。今のこの瞬間はもう二度と来ないということを感じながら生きることは、「今」を大切に生きることに繋がりますから。

 コロナを通じ、それを学びとして子供たちが自然に感じられるようにとしてくれたこの幼稚園での日々は、本当にかけがえのない素晴らしい時間だったなぁと改めて思った卒園式でした。


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