行雲流水(所長の雑感)

当事務所は、関与先の皆様への情報発信として、1993年より毎月「The Midorikai Times」というペーパーを発行しています。
その中の、所長が思いつくままに体験や感想などを綴った記事を「行雲流水(所長の雑感)」としてこちらへ掲載してまいります。

※ 掲載記事はあくまでも個人的主観による記事であり、当事務所のお客様へ向けた内容となっております。ご了承ください。

vol.298「京都亀岡/楽々荘」2018.6

  京都・亀岡の楽々荘、夕方5時半の約束に少し遅れて到着し、「豁友会です」と告げると、すぐに庭園に案内されました。庭師の方がメンバーに青い木の葉の裏に、細い枝でなにやら字を書いています。タラヨウ、ジカキバと読めました。多羅葉(タラヨウ)はこの木の名前、ジカキバは字書葉だそうです。葉の裏面を傷つけるとその部分のみが黒く変色し、長期にわたって残るため、戦国時代にはこの葉を矢で送り情報交換をしたとか、葉書の語源になったとか、珍しい話にびっくり。今でも切手を張って投函すればちゃんと配達してくれるそうです。ところでこの楽々荘、みどり会タイムズでは、24年前にご紹介しています。みどり会の秋のレクレーションに保津川下りを企画し、昼食をここで頂きました。   


重複を恐れず改めてご紹介しますと、明治、大正期に政財界で活躍した田中源太郎氏は、旧山陰線を敷設したことでも良く知られています。楽々荘は氏の自宅と迎賓館として建てられたもので、1997年には国の登録有形文化財に登録されています。またその650坪の庭園は、七代目小川治兵衛の作で、保津峡に見立てた池泉回遊式庭園です。亀山城から移設した豊臣の紋入りの春日燈籠や、鉄製井筒、樹齢360年の松をはじめ、桜、さるすべり、くろがねもち、ザクロなどで飾られ、タラヨウはそのうちの一つ、その説明の途中だったようです。


ところで「豁友会」は同志社大学経済学部のゼミの同窓会で、「西村カッツー」先生の「豁」を名前に頂いています。ほぼ毎年のように開いていたのですが、先生の没後しばらくお休みしていました。ところが豁友会のメンバーの一人、小嶋敦司さんが「がんこ」の「お屋敷」シリーズの10番目として、「がんこ・京都亀岡・楽々荘」を3月7日から新開店しているとのことで、久しぶりの有志の集まりとなりました。


 京都の方は「がんこ・高瀬川・二条苑」は良くご存知と思います。豪商、角倉了以の別邸あとの情緒あるお屋敷と庭園でなかなかの趣があります。なかでも私が感嘆するのは、賀茂川の納涼床の下を流れるあずさ川は、実は賀茂川の水を高瀬川に流す角倉了以の工夫の名残りです。あずさ川の真の目的は、賀茂川から取り入れた水を、二条あたりから傾斜した水路に流し、その勢いのまま二条苑に駆け上がり、自然に庭を潤しながら4百年も変わらず高瀬川へと流れています。


 今回初めて伺ったのですが、二条苑は、お屋敷シリーズの2番目だったそうです。1番目は大阪の「がんこ平野郷屋敷」。平野郷の 豪商、辻本家屋敷で江戸時代初期の建築だそうです。3番目「がんこ三田の里」は三田の大原城跡の曲輪や土塁の残る大原邸跡に。4番目は和歌山の「六三園」5番目は兵庫の「宝塚園」6番目は岸和田の「五風荘」7番目は新宿の「山野愛子邸」8番目は大阪池田の「石橋苑」9番目は武蔵野の「立川屋敷」そして10番目が「楽々荘」でした。


 旨くて安い寿司チェーンとして大阪で評判になっていた「がんこ寿司」が京都で和食の店、三条本店を出店する前後、小嶋さんと個人的に話した記憶があります。小嶋さん曰く、「京都で京料理の店を出す、言うたら反対意見がごまんと来ました。」「しかし京都の人でも京料理を食べてる人はごく一部の限られた人達、本物を一家族(3人~5人)1万円から2万円にすれば、新たなファミリーの需要が生まれる。」「京都の人と京都へ来る人々に本物の京料理を手軽に食べてもらいたい。」そう言われて見れば、料亭には何度もお邪魔してはいましたが、ほとんどが税理士会やその他の団体の忘年会や親睦会、家族で料理屋へ行くのは法事ぐらい、なんとなく図星を刺されたような記憶が残っています。


 同志社在学中から飲食店の起業を目指し、大阪の街で繁盛店の客単価や料理やサービスの質、家賃や人件費まで調査を続け、寿司が一番粗利益率がいいと決断されたそうです。当時寿司の値段は魚の仕入れ値が季節や大漁不漁などによって大きく変動するため、仕入れ値によって値入をするのが寿司屋の常識。値段の書いてない寿司屋へ入るのはかなり勇気がいったものです。そんな時代にそんな寿司屋の常識を初めて撤廃したのが「がんこ」でした。開業時にも京都進出の時でも小嶋さんの的確なマーケティング力には驚くばかりです。


 今回のお屋敷シリーズも小嶋さんの確かな思い入れがあるようです。日本の食文化を若い人々に伝えるとともに、先祖が残した素晴らしい伝統建物を生かしてゆく。寺院などは文化財として存続できますが、民間家屋はどんどん消えてゆきます。生活文化を丸ごと残したいとおっしゃいます。風情を感じつつ、いただくごちそうはまた格別でした。二条苑とともに楽々荘も是非お訪ね下さい。



2018年 6月

   松田 進

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近畿税理士会所属

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