行雲流水(所長の雑感)

当事務所は、関与先の皆様への情報発信として、1993年より毎月「The Midorikai Times」というペーパーを発行しています。
その中の、所長が思いつくままに体験や感想などを綴った記事を「行雲流水(所長の雑感)」としてこちらへ掲載してまいります。

※ 掲載記事はあくまでも個人的主観による記事であり、当事務所のお客様へ向けた内容となっております。ご了承ください。

vol.307「喜望峰の風に乗せて~THE MERCY~」2019.3

 1962年「太平洋一人ぼっち」堀江謙一のマーメイド号による太平洋横断で、クルーザーによる航海が日本でも認知されました。1966年にはイギリス人・フランシス・チチェスターがヨットでの単独世界一周を成し遂げ、世界は驚かされました。それを受けて1968年、サンデータイムズ紙が単独無寄港世界一周レースを主催し、イギリス人ノックス・ジョンストンが優勝します。1962年は私は税理士試験の真っ最中で琵琶湖とは完全にご無沙汰でしたし、琵琶湖にクルーザーはただ一艘浮いているだけでした。しかし1965年頃から日本でも各地でクルーザーのレースが盛んにおこなわれ、1968年には琵琶湖縦断のレースも始まっていました。私もそのころにはメンバーに加わってレースにも出ていましたので、そんな海外のニュースにも敏感に反応していました。

 表題の映画は、その世界初の単独無寄港世界一周レースの物語と聞いて、楽しみに出かけたのですが。まったく想定外の展開で、しかも実話と聞いてまた吃驚。英国では当時話題にもなり、書物もありテレビドラマにもなった有名な話だったそうですが、寡聞にして私はまったく知りませんでした。日本では報道されなかったのかも知れません。

 物語はサンデータイムズが5000ポンドの賞金を出して、「ゴールデン・グローブ・レース」単独無寄港世界一周レースの参加者を募集する場面から始まりました。そのレースにいち早く申し込んだのがドナルド・クローハースト。船舶用の位置測定器を開発して会社を立ち上げたものの事業は行き詰まっていました。5000ポンドの賞金と、妻と幼い3人の子供たちに名誉を送ろうというのが動機でした。ドナルドはほんのウイークエンドのアマチュアセーラー、そのことが話題を呼び、資金も集まりマスコミは宣伝媒体に祭り上げる。紆余曲折はあり、迷いもあったもののスタートの日を迎え、町の人々と家族の盛大な見送りを受けて出発します。

(閑話休題。画面でそのヨットを見たとたん、私は眼を疑いました。というのはトリマラン〈三胴船〉だったからです。カタマラン〈双胴船〉やトリマランのヨットはハワイあたりでよく見かけますが、静水の順風では良く走りますが、風上へ切り上がる能力は完全に劣ります。南氷洋の荒海の航海に耐えられるのか、当時の情報不足が想像できます。)

 出発はしたものの素人の悲しさ、次々と起こる故障に泣かされ、懸命に大西洋を南下するものの、向かい風に悩まされ一向に予定ど
おりには進みません。この当時GPSは勿論ありません。陸地との連絡は基地局を通じた無線電話だけ。喜望峰どころか大西洋で行きつ戻りつ、ついに彼は偽りの電信を打ち始めます。その偽りの位置報告による驚異的なスピードに地元英国内は大いに沸き立ちます。現実の航海と本国の熱狂との狭間で、ついに彼は大西洋に留まったまま、他の船のゴールに時間を合わせてゴールインしようともします。大自然の驚異と心の葛藤………。

 事実は後日大西洋を漂流している無人のヨットを貨物船が発見、それが彼のヨット、テインマスエレクトロンでした。そのキャビンに航海日誌が残されていました。

 ところでこのレースには9人が参加し、前述の通りノックス・ジョンストンがただ一人313日をかけてゴールインし優勝するのですが、その前を帆走(はしっ)ていたフランス人モテワシエはレースを放棄し一人、南太平洋タヒチにむかいます。「記録など意味がない。海にこそ幸せがあるから」だと。まさにロマンですね。残り6人はすべて遭難し棄権、当時の小さなヨットによる世界一周の過酷さがしのばれます。ノックス・ジョンストンは賞金5000ポンドをドナルドの寡婦と3人の子供にドネーションしたそうです。泣かせますね。

 ところで1989年から4年に一度「ヴァンデ・グローブ」という名の「単独無寄港無補給世界一周ヨットレースが行われています。フランスのヴァンデ県をスタート。喜望峰、インド洋の南、南極に近いハード島、オーストラリアの南西ルーイン岬、南米大陸の最南端ホーン岬のチェックポイントを通過し、フランスへ。今まで8回開催されていますが優勝者はすべてフランス人。最初のころは100日前後でゴールしていましたが、最新の2017年にはなんと74日でゴールしています。

 日本からは白石康次郎が挑戦しています。白石康次郎は1994年26歳の時、単独無寄港無補給世界一周を果たしています。2016年第8回のヴァンデ・グローブに挑戦しましたが、マストトラブルでリタイア。来年第9回のレースに挑戦するようです。上位チームの予算はほぼ10億。白石チームも3億5千万かかったようです。スポンサーとクラウドファンディングを募集しています。興味のある方はどうぞ。ドナルドの時代と違って、航海の過酷さは変わらないとしても、その気になればテレビの実況中継も可能だそうです。

2019年 3月

   松田 進

「喜望峰の風に乗せて~THE MERCY~」パンフレットP17より        

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