行雲流水(所長の雑感)

当事務所は、関与先の皆様への情報発信として、1993年より毎月「The Midorikai Times」というペーパーを発行しています。
その中の、所長が思いつくままに体験や感想などを綴った記事を「行雲流水(所長の雑感)」としてこちらへ掲載してまいります。

※ 掲載記事はあくまでも個人的主観による記事であり、当事務所のお客様へ向けた内容となっております。ご了承ください。

vol.309「令和元年」2019.5

 平成があと少しで終わろうとしています。当事務所も令和元年8月には創業50年目を迎えます。私は昭和35年に同志社大学経済学部を卒業し、即税理士事務所で実務を学びつつ、税理士試験を受験し昭和38年に試験合格、昭和45年に許されて独立、税理士事務所を開き、税務、会計の世界でほぼ60年が経過しました。昭和の後半の30年、平成の30年を思うと万感の思いがします。いずれ遅かれ早かれ、各界の人々から平成の総括がなされると思います。私は大それたことをするつもりはないですが、先日開業当初の源泉徴収簿を見ていて、昭和45年から64年までの昭和と、平成の30年間の人件費には顕著な特徴があることに気づきました。

 まず私の昭和35年(1960年)の大卒初任給、学内で張り出された求人で、最高は日興証券の15,000円、12,000円から13,000円が一般的でした。私の初任給は高卒なみだよといわれて8,000円でした。1960年に池田首相が所得倍増論をぶち上げていましたが、世間の反応はまだまでした。ところが昭和45年の開業後に最初に手伝ってくれた女子事務員の給料は、45年35,000円、46年45,000円、47年50,000円、48年65,000円退職時の49年には100,000円になっていました。丁度高度成長の初期の物価及び人件費の高騰がうかがわれます。49年に入れ替わりに来てくれた、大卒男性は初任給100,000からでした。私の時代の初任給ほぼ10,000円から、15年で倍増どころか10倍増になっていました。彼の給料を年代別に追ってみると、月給が300,000円、年収が5,000,000円を超えるのは昭和の終わり近く、10数年かかってほぼ3倍、高度成長がやや緩やかになってきたことを伺わせます。

 現在在籍する4人は全員平成も半ばを過ぎてからの入所です。一種の出来高払いなので、定期昇給はありません。売上高の増減で給料は変化するのですが、ここ数年は安定した金額になっています。社会全体が物価の上昇も大きくなく、社会がよく言えば安定、悪く言えば停滞していることの証なのでしょうか。

 さて昭和の高度成長期に自営業をしていたことを話すと、多くの人はいいですね、と羨ましがられます。しかし本当ははたしてどうか。売り上げが少々上がったからといって、今年の成長率は10パーセント、それより下回っていては成長とは言えませんよ、と発破をかけられる。物価はどんどん上がり、経費と人件費は毎年見直してくれる顧問先もありません。従業員にしても給料が上がるほどには豊かさを実感していたとは思えません。新しい電化製品は次々売り出される。友達は車を買った、などなどいつまでも落ち着く暇はありませんでした。考えようによっては必要なものは周りに大方揃っている。多くはなくとも収入もある程度安定している平成の方が生活はしやすかった、のかも知れません。

 「令和」私は好きです。明治、大正、昭和、平成と並べてみると柔らかくはないですか。中国古典からと万葉集からの違いでしょうか。なんとなくふんわりと期待が持てそうな気がします。ただ世界はこれからたいへんですね。アメリカの独りよがり、中国の独断、EUの混乱。東アジアの台頭、アフリカとアラブ諸国の政治的混乱。日本で言えば朝鮮半島問題が再燃しています。朝鮮半島の政治的無力と混乱のため、明治、大正時代、国運を賭け、日清日露戦争を戦いかろうじて得た政治的安定が音を立てて崩れかねない様相です。

 新しい時代、私たちはどう生きるべきか。新しい年号が示唆しているような気もします。「令」を命令の令ととって異を唱える人も二、三見かけましたが、漢和辞典を引いてみると、例示されている40の熟語のうち、命令の令は2例だけ。あとは令嬢、令息、令人、令名など、ほめ言葉もしくは丁寧語として使われています。ということはまさに「和をもって貴しとなす。」という聖徳太子の言葉を自信をもって世界に発信することの暗示かもしれません。

 幸いなことに、災害時の人々の整然たる姿や、サッカーのワールドカップでのゴミ拾いとか、70年間戦争をしないどころか、外国に対し一発の銃弾も発していないことを世界の人々が知りつつあります。日本人の庶民の誠実さは、報道のみならず、多数の観光客の目で世界の人々が広く知るところとなっています。また最近あるマスコミ人の発言で今、世界で何か重要なことが起こった時、真っ先に日本に情報が入ってくるそうです。彼の30年間の報道生活の中で初めての経験だと語っていました。安倍首相の長年の外交の成果と言えるのかも知れません。ともあれ我々日本人は世界に対し発言を控えすぎていました。世界中の人々が力による解決が無意味なことを感じ始めています。日本人が勇気をもって世界の平和に積極的に貢献出来る、令和がそんな時代になっていくことを願います。

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 平成が終わるからやめるのではないですが、みどり会タイムズ、この号で一旦筆を置こうと思います。いつか必ず終わるものであれば、どこかで区切りをつけなければなりません。みどり会タイムズ1号は平成5年5月に始まっています。今回で309号になります。そこで「私本平成記」と名付けて本にすることにしました。ご希望の方には進呈いたします。みどり会タイムズ令和版は今のところ考えてはいませんが。

2019年 5月

   松田 進

「喜望峰の風に乗せて~THE MERCY~」パンフレットP17より        

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