M-Times 2023.4

親になる『覚悟』

 松田事務所の荒木です。大石に子供が生まれます。予定では4月14日・・・だったかな(違っていたらごめんなさい)。この前聞いた時は子供ができる覚悟はまだできていない、と言っていました。それが本心なのかは分かりませんが、きっと不安や心配の方が大きくて『覚悟』にまでは至らないのかもしれません。というか、そもそも『覚悟』って何なんでしょうね。何となく、それって何かが起きる前に持つものではなく、コトが起きてからジワジワと出来上がってくるもののような気もします。

 僕自身、親になる『覚悟』についていつ意識したのかを考えてみますと・・・・・・・・・・ああ!あの時かもと思う瞬間に思い当たります。それは、出産後に妻が退院してきていよいよ家での3人(妻、息子、僕)の生活が始まるという最初の夜でした。息子がウンチをしたので紙オムツを交換する、という場面で、どうやって交換するのか遠巻きに見ていた僕に妻が問いかけてきました。「自分も本気で子育てするって言ってなかった?」と。

 勿論、僕としては子育てする気満々です!だからこうしてどうやってオムツを交換するのかもじっくり見ているわけですし・・・と思っていたら、「本気でやるつもりだったら見ているだけじゃなく、そっちから積極的にやり方を聞いてきたりするもんなんちゃうん?ただ見ているだけって、それで本気って言える?」とピシャリと言われ、受け身になっている自分に初めて気が付きました。

 僕は、本気で子育てするぞ!と思いながらも、心の何処かで、赤ちゃんにとって大切なのは母親だから僕は妻のサポートを精一杯したらいい、みたいな考えがあったのかもしれません。指示があればすぐに動けるようにもしていましたし、何でもやるつもりでいましたが、それでは全然『本気』なんかじゃなかったんだと、その時かなりの衝撃を受けました。

そしてこの瞬間、初めて親になる一歩を踏み出した気がします。

 それからの半年程は、今思い出そうとしてもほぼ記憶にありません。今ではそこまで母乳にこだわらなくても良かったかもしれないと妻も言っていますが、その時は、粉ミルクにできるだけ頼らない!みたいな母乳神話に駆られていましたので(妻が、母乳が豊富に出るタイプではなかったにもかかわらず、です)、夜中に息子が泣くと、妻が母乳をあげている間に僕は足りない量を補うために粉ミルクの用意をしたり、母乳+ミルクでどれだけの量を飲んだか把握できるようにダスキンからレンタルしている赤ちゃん用の体重計の用意(飲む前と、飲んだ後それぞれの体重を計り、どれだけ体重が増えたかを書く)をしたり、眠らせるために抱っこしたのはいいけど布団の上に置くと起きるので、結局ずっと抱いたままの状態で何とか工夫しながらソファーに座りながら寝たりとか・・・・そういうことをしていたなぁとボンヤリした記憶があるくらいです。

 と書けば、めちゃめちゃ子育てしてそうですけど、残っている記憶の断片をピックアップしている(しかも記憶がかなり改ざんされている可能性も・・・)からそう見えるだけで、実際は妻の100分の1もしていなかったです。でも、とりあえず必死でした。妻も、僕も、そして息子も。それぞれが、それぞれなりに、必死に『生』をつかみ取ろうともがいていた気がします。

 これって、各家庭によって様々で、うちはたまたまこういうやり方をやっていた、というだけのことで、しかもそれが正解だったのか間違っていたのかすらも分かりませんが、結局は、他と比較することなく、自分らなりのやり方を手探りで見つけていくしかないんでしょうね。

周りは色々と言ってきたりしますが・・・

 ただ言えることは、子供が生まれるということは、今までの人生の延長線上に子供がプラスされた現実がある、というわけじゃなく、今までと全く違う人生が始まる、もっと言えば、今までと違う自分になる、ということなのかもしれません。

 そういう意味では、親になる『覚悟』というのは、自分が今までの自分から新しい自分へと生まれ変わるための『覚悟』、と言えるのかも。子供が生まれるのと同時に、親である自分たちも生まれ変わる、そして新しい人生を子供と共に歩んでいく・・・・・・・のだとしたら、それってめちゃめちゃ素敵なことですよね!

 って思いたいけど、現実は、日々の子育てに追われてそんな風に思える余裕が無い、というのがうちの現状だったりしていますが・・・・・・・・まぁそれはそれとして。