総務の石田です。毎年7月に、福井県の「越前みなと大花火」を観覧しています。越前海岸は、急峻な山々を背にした南北に細長い一帯であり、会場は漁港を臨む広場。水上から打ち上げられた花火は、観覧者たちの頭上にまで到達し、座る位置によっては、火薬の炸裂をほぼ仰向け状態で見上げることになります。13,000発を20分足らずで打ち上げてしまうのですが、クライマックスに浴びる連発花火は天上を覆いつくす黄金のオーロラ。胆の小さい私なんぞは、感動を通り越して、恐怖を覚える程です。
さて、今年は趣向を変え【越前みなと大花火2025特別企画 船釣り体験&花火鑑賞】なるものにエントリー致しました。イカも魚も狙う欲張りプラン、お一人9,000円です。そして無料駐車場の確保が大変ありがたい。例年のように、花火開始の何時間も前から場所取りに奔走しなくて済みます。
さて当日。釣り参加者120名満員御礼、漁港には、ずらっとイカ釣り漁船が集結し壮観です。早めに受付を済ませたものの、なかなか割り当てられた船が見つけられず、係員に小走りで案内して頂き、時間ギリギリで乗船。
気さくな船長と、隣合わせた福井市からのご夫婦と、のんびりお話しながらの出航。毎年この「花火&イカ釣り」に参加されてるご夫婦から、たいして沖には出れない(花火鑑賞のため)こと、さらに花火の音や光のせいで、釣果は期待できないことを聞かされ(でしょうね…)とやや気落ち。テンションダウン。いいもん。花火クルーズのがメインだもん…。
などと拗ねつつも、気さくな船長に、丁寧に竿の使い方を教えて頂いたらイカ釣りスタート。とはいえ、まだ日没前、アタる気配も無く、早々にやる気をなくして竿を置き、吹き抜ける海風と心地よい揺れに身を任せ、夕日に輝く海原眺めつつウトウト――やがて日が落ちると、イカ釣り漁船たる骨頂、まばゆい白ランプが一斉に灯ります。さ~て。そろそろ本気出しますか…。と、ド素人が再び竿を手に。水深45m。錘が着底するまで糸を垂らし、そこから5m巻き上げた辺りから、しゃくりつつ上げていきます。船内には10名ほどの老若男女。ゆるやかな波にギィと船の揺れ軋む音。沿岸の花火だけを待つ空気の中。竿先の揺れが、アタリか波によるものか、目視での判断に自信が無い私は、糸に指を触れたままにしていて、その糸へ微細なコツコツ突つく振動を感じました……ん?もしや?エイっと一気にリールを巻くと――やった!船内初の釣果です!小さめのマイカ。「来てるぞー!」船の雰囲気は一変します。そこからは、ま~つりだ♪祭りだ祭りだ豊漁ま~つり~♪
無類のイカ刺し好きの夫も、無事一匹目を釣り上げた辺りで、花火がドドーン。テンションMAX!?かと思いきや、実はここからが本題。花火どころでは無くなるのです…ッ。【以降、虫嫌いは閲覧注意】 ちょうど釣れ始めた頃、不気味に、ぴたっと風が止みました。最初は目の前を飛ぶ数匹でした。うざいなあ、と手で払い避けながら、イカを釣り続けることしばし、突如として、猛烈な羽蟻の群れが襲ってきたのです。15~20mmの巨大な蟻。汗に濡れた襟から裾からシャツの中、髪の毛の中、ギャーと叫ぶ口の中にも入ってきます。阿鼻叫喚。夫婦二人で食うには十分過ぎる程釣れたので、黒ゴマの如くまぶされたマイバッグから羽の悪魔どもを掻き出して、氷とともに厳重にイカを保守、後はひたすら群がる蟻との闘い…。
他の漁船はというと、おそらく釣果が無いまま花火が始まったからか、早々にランプを消灯し、花火鑑賞へ専念している船もありました。その分、こちらに悪魔が集中しているのでは…ッ。が~え~り~だ~い~と涙ぐむ私に、船長が微笑みます。「時間内に帰っちゃうと(漁協に)怒られるんよね~^^」――20:20で終わった花火の後、スケジュール通りきっちり21:30まで羽蟻地獄でした。
越前かにかにファンクラブ会員としてフォローすると、羽蟻の襲来は、特殊な条件下での自然現象らしく、めったに起きない?そうです。信じるか信じないかはあなた次第。ビバ、越前イカ釣り花火!(いまさらAmazonで全身用の虫防護ネット服見つけました…これだッ…!)